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2020/06/24

スライディングボード 持ち上げず要介護者移動

 家で介護をする場合は「介護される人」だけでなく「介護する人」のことも考える必要があります。特に、持ち上げる動作で腰痛になる介護者も多く、それが原因で在宅介護を断念せざるを得ない人もいます。

 日本では、自力で立てなくなった人を、介護者が持ち上げて車いすやベッドに移動させることが多いのですが、海外では人を持ち上げることを法律で禁止し、福祉用具を使った「持ち上げない介護」が当たり前の国もあります。持ち上げずに人を移動させるには、滑らせる方法とつり上げる方法があります。

 今回紹介するスライディングボードは、滑らせる方法を採る福祉用具です。滑りやすい素材の板をベッドと車いすの間に置き、その上に腰かけた状態でスルッと滑らせて移動させます。無理に持ち上げないので介護者も楽ですし、介護される人も脇の下などを強く圧迫されることがなく、痛みもありません。

 使い方の練習は必要ですが、安定して座ることができ、少しでも足を踏ん張ることができれば使えます。但馬長寿の郷では使い方の練習なども行いますので、担当のケアマネジャーにご相談ください。

 (但馬長寿の郷 理学療法士)

 (神戸新聞 令和2年6月13日転載)