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2017/11/01

退院後のリハビリ 自分でできること増やそう

 リハビリと聞くと、「けがや病気の回復のために手足を動かすこと」や「筋力をつけること」を想像する人が多いと思います。しかし、退院後のリハビリは単なる運動ではなく、それぞれの人が望む暮らし方を取り戻す目的もあります。

 先日、脳出血による半身まひのある男性(80)に会いました。まひの症状は比較的軽いのですが、体を動かすことに不安を感じるため、好きな畑仕事もせず、家に引きこもった状態が続いていました。

 私たち理学療法士などリハビリの専門職は、現在の体の状態からできることや、できそうなことを見極め、その人に応じた活動を提案します。この男性の場合、退院後も歩くことができたので、自力でできる範囲での畑仕事を勧めました。さらに行動範囲を広げるため、外出して運動するようにも提案しました。

 男性は指導された運動に前向きに取り組み、可能な畑仕事を自分で見つけて再開し、引きこもっていた時より、はつらつと生活するようになれました。

 できないことをできるようにし、やりたいことを続けるための退院後のリハビリ。けがや病気をしても、再び自分でできることを増やせるよう、専門職に相談してみませんか。

 

(但馬長寿の郷 理学療法士)

(神戸新聞 平成29年10月7日版転載)