神戸新聞一覧

2018/12/19

デイサービス 望む暮らし実現へ活用を

 ある90代の女性は、2年前に左足の大腿骨を折りました。手術とリハビリにより、自力で歩けるまで回復しましたが、自宅ではほとんどの時間を自室で過ごしていました。その理由は、廊下に15㌢の段差があり、家族の介助無しでは昇降できないからでした。

 しかし、骨折しなかった右足の脚力は保たれていました。デイサービス利用の送迎時には、手すりを持ち、介助無しで屋外の12㌢の段差を昇降できていました。「あと3㌢」を何とか克服できれば、もっと活動的に暮らせるはずだ、と私たちは考えました。

 そこで、デイサービスで15㌢の段差を昇降する練習を行うことと、自宅に手すりを設置することの2項目を提案しました。デイサービスでの練習が実を結んだ結果、今では手すりを使って屋内を自由に移動でき、家事を手伝えるまでになりました。

 この女性の場合、日常は座って過ごすことが多かったようです。しかし、デイサービスを活用することで「自分でできること」が増え、本人はもちろん、家族にとっても望む暮らしをかなえることができました。

 日常の困りごとがあれば、担当ケアマネジャーと相談し、自立につながるようデイサービスを活用しましょう。

 

(但馬長寿の郷 理学療法士)

(神戸新聞 平成30年12月8日転載)