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2019/02/26

ロフストランド杖 手と腕で体支え 高い安定感

 「ロフストランド杖」というものを知っている人は、少ないかも知れません。この杖は「前腕支持型杖」とも呼ばれています。手で握るだけでなく、腕でも支えるような構造になっているのが特徴です。

 最近、この杖をお勧めしたのは、足首を骨折した60代の女性でした。ギプスは外れたのですが、足に全体重をかけるとまだ痛みがあるため、一般的な杖に体を預けるように歩いていました。

 しかし、手にかなりの力を入れないと体が支えきれないので、短い距離しか歩けません。その上、手首への負担が大きいため痛みが出始めているようでした。

 そこで、ロフストランド杖を試してもらうと、手と腕の2カ所で体を支えるので、手首の負担が軽減しました。体を預けても安定感があり、手首の痛みも気にすることなく、長い距離も歩けるようになりました。

 この杖は医療機関で紹介されることが多く、販売しているのは福祉用具専門店などに限られています。そのため、利用する人は少ないのが現状です。しかし握力や手首が弱い人や、一般的な杖で体を支えきれない人には有効です。

 心当たりのある人は医療機関に相談するか、但馬長寿の郷すこやかセンターで実物を見て、相談してみてください。

 

(但馬長寿の郷 理学療法士)

(神戸新聞 平成31年2月16日転載)