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2018/03/02

互助 地域での人間関係が重要

 80歳代で、共に認知症のあるご夫婦の話です。現在は2人とも認知症が進行したため、施設に入所されています。しかしそれまで、支援者が当初予想していた以上に長く、2人で暮らし続けることができました。

 長く自宅での生活が可能だった最大の要因は、近隣住民たちが頻繁に訪れ、夫婦の様子を見守ってくれていたことです。2人はデイサービスに通い、自宅でも訪問介護で家事の支援を受けていました。しかし、どうしても2人きりになる時間があります。この時間帯に近所の人たちが様子を見に来ることで、夫婦もご近所も互いに安心でき、結果的に長く2人暮らしを続けられたのです。

 今後日本では、認知症になる人の数がますます増えることが予想されます。地域全体で今のうちから、認知症に対する心構えを持っておくことが大切です。

 例えばこの夫婦のように、自宅での生活をできる限り継続したい人は、進んで周囲の支援を受け入れましょう。また地域の住民や支援者は、認知症の人がいれば、気遣いをしつつも遠慮せずに訪問し続けてください。

 認知症になっても、住み慣れた地域で暮らし続けるためには、助け合いのできる人間関係が重要です。将来を見据えて、普段から地域の人々と信頼関係を深めるようにしましょう。

 

(但馬長寿の郷 理学療法士)

(神戸新聞 平成30年2月10日版転載)