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2022/02/15

情報量の調節 認知症に生活の工夫を

 軽度の認知症がある人の自宅を訪問した時の話です。この女性は、服の着替えなど日常的なことや、電話でタクシーを自宅に呼ぶこともできます。しかし、電話のボタンを押し間違えて音量が下がり、相手の話し声が聞こえなくなることが増えていました。そこで、使わないボタンは隠して必要なボタンだけを見やすいように工夫すると、音量を下げることなく使えるようになりました。

 高齢になって認知機能が低下すると、情報が多すぎて必要な情報を選びにくくなります。テレビのリモコンや電子レンジ、洗濯機などの家電はボタンが多く、押すボタンや順番を間違えて「使えない」という話をよく聞きます。

 テレビのリモコンであれば、家電量販店でボタンの少ないものが購入できます。そのほかの家電についても、不必要なボタンを隠し、必要なボタンの押す順番を書いておけば使えるようになることもあります。家の中でもできるだけ整理して必要なものだけを置くようにすると財布などの探し物も減ります。

 情報を減らして使いやすくする工夫をしてみてはいかがでしょうか。

 (但馬長寿の郷 理学療法士) (神戸新聞 令和3年7月17日転載)